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大阪地方裁判所 昭和25年(ワ)1069号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

(事實)

原告は豊中市所在の自己所有家屋を被告實に賃貸していたが、被告實は昭和二十三年四月十七日頃原告に無斷で右家屋全部を被告修に轉貸したので四月末頃被告實に對して右賃貸借契約を解除したから、被告實に對しては契約解除を理由に、被告修に對しては所有權侵害を理由として夫々右家屋の明渡と損害金の支拂とを求め、假に右解除の意思表示が認められないとしても本訴状の送達により解除の意思表示をすると主張した。被告等は轉貸及び契約解除の事實を爭う。

(判斷)

原告敗訴。

判示事項一「原告は昭和二十三年四月十七日ごろ被告實に對し本件家屋全部の無斷轉貸を理由として右賃貸借契約を解除した旨主張するけれどもこれを認めるに足る證據はない。尤も……原告は終戰直後より本件家屋の明渡を希望しており、被告宛に昭和二十三年四月二十六日差出した内容證明郵便では原告の自己使用の必要を理由として本件家屋の明渡返還方を要求したことが認められるけれども、かかる賃貸人側の自己使用の必要に基く解約申入は、無斷轉貸を理由とする契約解除とは究極において賃借家屋の明渡を欲求するという點で軌を一にするとはいえ、その法的基盤並に性格を全然異にするから、かかる契約解除の意思表示に轉換してその効力を認める餘地はないと解する。」

次で本訴状の送達により無斷轉貸を理由とする契約解除の意思表示のあつたことを認めつつ、左の理由によつて無斷轉貸を前提とする原告の各請求を排斥する。

判示事項二「原告主張の轉貸の事實につき考えてみるのに、被告實が目下豊中市大字麻田一千四百十一番地に居住し、本件家屋には弟の被告修を入居させていることは、被告實の爭わないところであり、……被告實は昭和十二年二月ごろ本件家屋を當時の所有者田尻與彦から賃借してこの方引續きここを被告實の住宅兼酒、醤油、薪炭販賣の店舖として生活して來たものであるが、昭和二十三年に至り酒類の販賣が登録制に變つて四百軒以上の得票がなければ登録店になれなくなり、本件家屋附近の豊中市域には約七十軒位しかないため、本件家屋に止まる限り登録店に失格するおそれがあつたので、被告實は豊中市大字麻田一千四百十一番地に建坪約十四坪六合の新築平家建店舖兼住宅を構えて阪急線螢ケ池驛前に營業進出を圖り、同年五月上旬に妻、子供五人を伴い右新築家屋に移轉したこと、しかし右新築家屋は奧六疊の間、二疊の板の間、三疊の店の間及び四坪程の土間より成り店舖としても手狹なため右移轉後も本件家屋に薪炭類の小賣及び夏期の氷商關係の營業部門を殘すと共に酒類、醤油の商店置場としても本件家屋を利用しているものであること、被告實は右移轉のころより弟の被告修を本件家屋に入居させ、實の主宰する本件家屋での營業を手傳わせており、統制の外れた今日でも同樣であること、被告實は昭和二十四年七月下旬から訴外多湖美根松を店員に雇入れ、被告修もその後結婚するに至つたので、現在では本件家屋に被告修夫婦が被告實と世帶を別にして多湖と共に居住していることが認められる。してみれば、被告實は永年店舖兼住宅として使用して來た本件家屋を右移轉後は自己の居住用にこそ使用していないけれども、依然としてその營業の必要上自己の店舖として使用しているものであり、本件賃借家屋に殘された營業部面を實施手傳わせる必要から被告修を本件家屋に居住させているものであつて、被告實としては右新築店舖と相俟つて營業活動の圓滑を得られるものであることが認みられる。從つて、被告修は、被告實と世帶炊事を異にしているといえ、店分をうける等のことにより獨立して居住しているものではなく、被告實が本件家屋を店舖として主宰する營業を補助する地位においてあくまでその營業主體たる被告實に附隨して居住しているものと認めるのが相當であるから、被告修の居住態樣をもつて轉貸というのは當らない。」

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